産学連携による新栄養コミュニケーション教育への取組み
アジア諸国において「栄養不良の2重負荷」が急速に拡大し、特に塩分の過剰摂取は生活習慣病の大きな原因となっています。日本でも「過栄養」などの栄養課題を抱えており、その対策として、食習慣の基礎を作る子ども時代の食育が重視されています。飢餓と異なり、過栄養は、最終的には本人の主体的な食行動の結果として生じるものだからです。これまでの食育は、「栄養教育」と「調理教育」が中心でしたが、これらに加えて「味覚教育」も重要になってきます。
そこで、味の素(株)は、慶應義塾大学SFC研究所健康情報コンソーシアムと共同で、おいしさを科学的に楽しく学びながら味覚力を上げていくことで未来の健康を作る「子ども味覚力向上委員会」を立ち上げました。5基本味を言語やAR技術等を用いて体感し、楽しみながら脳にインプットさせて味覚力を養い、健康な食習慣を構築する。子ども自らの主体的な行動変容を目指した新しいアプローチの栄養コミュニケーションの開発に取組んでいます。
「子ども味覚力向上委員会」の新しい栄養コミュニケーションツール
身体を使って学ぶ「食育5基本味体操」
「食育5基本味体操」は、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味それぞれから感じる味わいを、表情やポーズなどの身体表現を使ってアクティブに学べるプログラムです。歌舞伎役者の中村橋吾さんに和モダンポーズをご指導いただき、ACD2022の会場ブースでも、来場者に体験していただきました。コロナ禍での非言語におけるコミュニケーション、年齢を問わないコミュニケーションとして活用できると好評でした。
「減塩してもおいしい!」体験で健康的な味覚習慣を
味の素グループは1909年の創業以来、おいしく食べることも栄養も両方重要という明確なビジョンをもって企業活動に取組んできました。味の素グループの「おいしい減塩」が目指すのは、「うま味の活用による、おいしさを損なわない減塩の推進」です。しかし、減塩の推進は1社で達成できるものではありません。その手法もさまざまです。社会全体での減塩推進には、一人ひとりが減塩課題を認識し、その方法を理解し、主体的に行動する必要があります。主体的な行動変容を実現するためには、「さまざまな方法でおいしさを損なわない減塩が実現できること」を幼少期から体験的に学ぶ機会が重要です。
第8回アジア栄養士会議(ACD2022)で調理体験イベントを開催
2022年8月に、アジア栄養士連盟加盟国のうち4か国の栄養関係者をお招きし、味覚力向上のカリキュラムで学んだ日本の子どもたちと一緒に調理体験イベントを開催しました。 体験を通して、うま味調味料を効果的に使用することで「おいしい減塩」が実現できることを実感いただき、参加者からは、「食文化には、宗教的な食の制約など異なる部分もあるが、うま味体験を通じて、味覚教育の重要性について共通認識をもてた」「自国でも開催したい」などの声も上がりました。