食×スポーツ×科学『食とカラダの不思議発見! 子ども学び縁日』 in 狛江
2023年5月4日、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム 子ども味覚力向上委員会と狛江市教育委員会の共催による「食とカラダの不思議発見!子ども学び縁日」が、味の素(株)の協賛を受けて行われました。このイベントは、成長・発育段階に応じて子どもたちが科学的な視点で食とカラダの関係を理解し、親子で食習慣を改善するための持続可能なESD※食育プログラムのプロトタイプを開発・検証することを目的としています。
イベントでは、オリンピック・空手銅メダリストの荒賀龍太郎さん、元サッカー日本代表選手の石川直宏さんによるトークショーが行われました。お二人の幼少時代の食事を振り返り、公認スポーツ栄養士/博士の鈴木志保子先生からは管理栄養士の視点から、スポーツ歯科医/博士の中禮宏先生には歯科医師の視点からアドバイスが提供されました。身近な話題に対する専門家による解説に、保護者からも感謝の声が寄せられていました。
※ESD(Education for Sustainable Development):「持続可能な社会の担い手を育む教育」のこと『Ajico Report Vol.1』(2023年7月発行)より
歯並びは遺伝じゃない?
生え代わり時期に気をつける食事とは
子どもたちの発育・発達のために、食事と歯並びの重要性を理解する必要があります。歯科医師の中禮先生は、「しっかり噛めないと腸での吸収率が下がります。歯並びは遺伝と思っている人が多いが、それは間違い。歯の生え代わりの時期に顎の筋肉を鍛え、土台である骨をしっかりと作ることが重要です。そのためには、しっかり噛める食事を摂ること。しっかり噛む力を育て、顎が大きく成長することで歯がきれいに並ぶようになるんです」と解説しました。
石川さんは子どもの頃からおやつに「さきいか」を食べていたそう。鈴木先生からは「顎の発達視点ではよいおやつですが、塩分に注意して量を意識しましょう」とアドバイスがありました。
虫歯と脱水、どちらが怖い?
スポーツドリンクを飲んだら水でうがいを
「虫歯になるからスポーツドリンクは飲ませないようにしている」という指導は適切とは言えません。親世代と現代では気温に大きな差がありますし、脱水は生命に関わります。スポーツドリンクが水よりも吸収が早いことは科学的に証明されています。虫歯を気にするよりも脱水を回避し、「スポーツドリンクや補食を摂ったらうがいをしよう」と指導するのが適切です。さらに、寝る前にはしっかり歯磨きをするなど、具体的な行動を促して習慣化させるアドバイスも重要です。
チャレンジするために食事を大切に!
成長や体調にあわせて食事量の調整を
荒賀さんと石川さんは選手時代を振り返り、ともに食事の大切さを実感しています。荒賀さんは、「体調が整っていればココロも前向きになり、技術にも良い影響が出る。必要な栄養を摂るための食事と、リフレッシュや楽しみを兼ねた食事が、カラダとココロを支えてくれた」と話します。石川さんは、「食事もトレーニングも粘り強く経験し、自分のものにしていく積み重ねが大事。自分の食べたものでカラダが作られる。思いっきりチャレンジするために食事を大切に」と語りました。
中禮先生は医師の視点から、唾液の量が味にも影響することを指摘し、「しっかり噛める歯の状態を整える」ことの重要性を述べました。鈴木先生は、「子どもたちの成長には個人差があり、食事の量も個々に合わせる必要がある」とし、「身長が伸びる時には栄養状態を改善し、食欲が低下した場合には運動量を抑える」ことで健全な成長を促すよう提案し、子どもたちと保護者に向けてエールを送りました。
5種類の「5基本味」 縁日体験プログラム
子どもたちが遊びながら5基本味に関心をもてるよう、5種類の縁日体験プログラムを開発しました。他の食育イベントと複合的に行うことで、家庭における食習慣改善のきっかけになることを目指しています。地域や教育現場などでも実現可能なDIYアレンジ方法も記載していますので、ぜひお試しください!
1. PKチャレンジ
5基本味マークのパネルをサッカーボールで落とします。落としたい味を宣言してチャレンジ!
2. ぴったんこめくり
5基本味マークと食材が書かれたカードをめくり、該当する味の絵柄を合わせます。
例:「うま味」=「味噌汁」、「塩味」=「塩」
3. ぴったりストップ
5基本味カードを引いて、そこに描かれた秒数ぴったりにストップウォッチを止めます。
4. ボーリング
5基本味マークがついたジャンボボーリングピンを倒します。
5. 箱の中身の味当てクイズ
箱の中に入っている食材を触って「味」を答えます。