・学童期は「肥満とやせ」両極の課題が存在
・学校給食のない日や給食から卒業後の栄養摂取の課題
・学童期以降の健やかな成長と健康のカギは望ましい食事摂取の実践と習慣化
2018 Summer発行 Ajiconews vol.4より
「肥満とやせ」の二極化。
その背景にある生活習慣と食行動の実態をとらえた指導を考える。
今の子どもとその親世代の11歳のころの体格を比べてみると、平均身長・体重ともに大きくなっており、栄養状態はより良くなっていると思われます。
その一方で、肥満傾向児・痩身傾向児は、1990年代以降も高い水準のままであり、二極化傾向が変わらず続いています。
これらの背景には、睡眠時間や運動の習慣など、生活習慣に関する要因などが推察されます。
なかでも子どもの栄養状態や生活リズムの形成において、大きな役割を果たしているとされる学校給食。その現状から子どもの食の課題の解決策について探ります。
学童期の栄養摂取量・バランスは給食の有無に左右されている?
学童の栄養摂取において重要な役割を担う学校給食。
小学校5年生を対象とした学校給食のある日とない日の食事摂取量・内容を比較した調査の結果、学校給食のある日はカルシウム、ビタミンB1の摂取量が多く、食塩摂取量は低く抑えられていることが明らかになりました。この結果は、学童期の栄養摂取における学校給食の貢献度の高さを示唆するものです。しかし一方では、学校給食のない環境や卒業した後にも、望ましい食習慣を維持することの難しさを示しています。
給食がある時のような、望ましい食事摂取の習慣化が課題です。
朝食の欠食率は横ばい。学齢が高いほど欠食率が高い
次に、家庭における朝食の実態を見てみましょう。
子どもの朝食欠食率は横ばいの状態が続いており、学齢が高いほど高くなる傾向を示しています。
また、朝食欠食は大人になってもそのまま定着するだけでなく、20歳以降から始まる人が半数を占めています。
学齢が上がるほど高くなり、そのまま定着する子供の朝食欠食。成人後も望ましい食事の習慣を続けられるよう工夫が必要です。
朝食の品数は徐々に減少し、「主食のみ」が増加
さらに子どもの朝食の献立構成を見てみましょう。近年「主食のみ」の朝食が増え、3割を超えています。主食に「おかず※」や「汁物」が添えられている朝食は減少傾向です。品数の少ない朝食や主食のみの朝食などの現状から、朝食で適切な栄養摂取量を確保することへの難しさが垣間見えます。
日常に取り入れやすく、バランスのよい食事摂取への支援が必要です。
※おかず:主菜・副菜は区別せず、全て「おかず」として集計した。
石田 裕美 先生からのアドバイス
女子栄養大学
石田 裕美 先生