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2023.03.31

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食べてかなえる、ワタシの美BODY!
〜無理なくおいしい、美と健康の習慣とは?〜

食と健康の未来フォーラム2022

 「食と健康の未来フォーラム」は2020年にスタートし、年1回開催されています。今回のテーマは「食べてかなえる、ワタシの美BODY!~無理なくおいしい、美と健康の習慣とは?~」。
 フォーラムの冒頭、主催者あいさつの中で藤江氏は、このテーマの意図を「自分のやりたいことを実現し、充実した人生を送るための基盤は健康。ところが、若い20~30代の女性には『やせ願望』が強く、体型に対する誤った自己評価をしていて、栄養不足や栄養バランスの偏り、やせ、または隠れ肥満などの問題を抱えている方が少なくない。それはご自身だけの問題ではなく、近い将来に出産される子どもたちの健康リスクにもつながっていく。この問題に直面している世代の方とともに解決策を考えていきたい」と語りました。

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この記事の主な画像一覧

第1部
自分らしい理想の美BODYについて考えてみよう

本田由佳 氏 パネリスト
本田 由佳 氏
(女性健康科学者、医学博士)

フォーラムの第1部のテーマは「自分らしい理想の美BODYについて考えてみよう」。オンラインによる1,000人以上の参加者を対象にアンケートを実施しながら討論を展開。アンケートの最初の質問は、「あなたの理想の体型に一番近いシルエットは?」という問いかけで、6タイプの体型のシルエットから選択してもらいました(図1)。その結果、参加者の6割以上が②を選択。

パネリストの本田氏によると、多くの女性が選んだ②のシルエットは、BMIが18.5~21.5の女性の体型であり、疾患リスクが最も低いとされるBMI22よりも低く、やせに近い体型とのこと。同氏からは、若い女性のやせに伴うさまざまな健康リスクについて解説がなされました。

あなたの理想の体型に近いものはどれ?

●20~30代女性の4割以上が「やせ気味」

続いて本田氏から、20~30代女性の4割以上がBMI20以下の「やせ気味」に該当するというデータが紹介されました。また、モデレーターの古田氏は、本フォーラム開催に先立って行った、18~39歳の女性1,000人を対象とするアンケートの結果を報告。それによると、その世代の女性の平均BMIは20.3であり、かつ理想とする体重はBMI換算で18.6だったとのことです。

この18.6という数値について本田氏は、「18.5未満が『やせ』の判定基準であるため、ぎりぎりのライン。体重は1日の中でも上下動しているので、低いタイミングで測定したら18.5を切っていることもあり得る体重」と述べ、若い女性に向けて注意を促しました。

●体に良いダイエットとは?

ここで2問目のオンラインアンケートが実施され、現在行っている、または過去に行ったことのあるダイエット法が質問されました。その答えは、「食事を減らす」と「運動をする」に大別されるものの、中には断食やサウナなども挙げられました。

これには本田氏が「ちょっと驚いたと」と感想を口にし、「体脂肪1kgは約7,000kcalのエネルギーを蓄えている。よって1週間で1kgの体脂肪を運動で減らそうと思ったら、3日はフルマラソンを走る必要がある。1回のマラソンの後の体重減の多くは、体内の水分が減ったことで生じたもの。『サウナで2kg減らしました』という人もいるが、それも同じ。また、断食で体重を減らすと筋肉も減り、リバウンドした場合には脂肪が増えてしまう」と述べ、むやみなダイエットの弊害について解説を加えました。


第2部
理想の美BODYをつくる『栄養の摂り方』

古田 大輔 氏 モデレーター
古田 大輔 氏
(ジャーナリスト/メディアコラボ代表)

続く第2部のテーマは「理想の美BODYをつくる『栄養の摂り方』」。本田氏が引き続き若年女性の健康的な体重維持の重要性とその方法を解説。また、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏による運動トレーニングのポイント、フィーカレディースクリニック管理栄養士の篠原絵里佳氏による食事の摂り方のポイントが、動画コメントにより解説されました。

●美BODYで“健幸”に!

中野氏、篠原氏の講演終了後、参加者から寄せられ質問にパネリストが回答。例えば、「BMIは体脂肪が多くても高値になる。BMI以外で低体重に関連する不妊リスクを評価する指標はあるか?」との質問に対しては、本田氏が海外の疫学データを示しつつ、「BMI20以上を維持しながら体脂肪率20~24%の範囲に目指してもらい、あとは筋肉をつけることを意識すると良いのではないか」と答えました。

また、本田氏によると、筋肉量の目安として両足の太ももに隙間ができない程度に筋肉をつける必要があり、太ももの隙間が多ければ多いほど老化が進んでいるとのこと。「中野先生の話にもあったように、下半身の筋肉はとても重要だと考えています」と若い女性の過度な「やせ願望」に警鐘を鳴らしています。

フォーラムの終了に際して藤江氏は、「無理ながまんを続けていたのでは心の健康が損なわれてしまいかねない。私は常日頃、健やかに幸せであることの願いを『健幸』の2文字を当てて表現している。当社はこれからも皆さんの『健幸』の素となるような製品を届けていきたい」と語りました。

藤江 太郎 氏 藤江 太郎 氏
(味の素株式会社 取締役 代表執行役社長 最高経営責任者)


理想の美BODYは健康にも最適!

本田 由佳 氏

第一部でモデレーターの古田氏が紹介したとおり、本フォーラム開催に先立ち、18~39歳の女性1,000人を対象とするアンケートが実施されました。アンケートでは、「日頃感じる不調」についても調査されています。結果は図に示す通り。疲れやすい、肩こり、腰痛、手足の痛み、イライラするなどは軒並み4割前後。頭痛や吐き気、睡眠の問題、便秘、憂うつなども3割以上が感じていることが明らかになりました。

若年女性が日々感じている不調

このアンケート結果を受けて、本田氏が女性健康医学の専門家の立場から、若い女性によくみられる健康問題とその対策を解説。ここからはその要旨を、動画コメントゲストの中野ジェームズ修一氏、原絵里佳氏のメッセージとともに紹介します。

●やせと朝食欠食の弊害

本田 由佳 氏

20~30代の女性は女性ホルモンの分泌がピークにあたり、人生で一番元気で美しくキラキラ輝いている時期です。その時期に「疲れやすい」「肩こり」「イライラ」といった、更年期障害でみられるような症状を多くの方が抱えています。その大きな原因として、食事の量が少ないか、バランスが悪い、ビタミン、ミネラルが不足しているといったことが考えられます。

BMIが18.5未満でやせに該当する女性は、朝食を食べない人が少なくありません。当然、摂取エネルギー量は少なく、冷え性や疲れやすさ、睡眠の質の低下などの不調が起き、さらに月経異常、不妊、糖尿病、骨粗鬆症などの健康障害も増えてきます。

BMI18.5未満の人にみられる症状

本フォーラムに先立ち実施されたアンケートでも、朝食を食べないと回答した女性には、疲れやすさのほかに、顔のほてり、めまいなどの実に多くの症状を抱えている方が多いことがわかりました。

朝食を食べない人に多い不調

このような患者さんが受診された場合は、まず、朝食を欠食していないかを確認し、欠食しているなら食べる習慣をつけることから治療がスタートします。朝食を食べ、朝の光を浴びることで体内時計が整い、1日を快適に過ごしやすくなります。

●「5基本味」を意識して栄養バランスを整えよう!

私たちの体は、糖質、体脂肪、水分、ミネラル、筋肉で構成されています。それらはすべて、食事として摂り入れる栄養素から作られます。美BODYを作るには、1日3食が欠かせません。

食事の基本は、主食、主菜、副菜を組み合わせてバランス良く食べることですが、より楽しみながら食べる方法として、5つの味「5基本味」を意識すると良いかもしれません。5基本味とは、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味です。

また、海・山・大地の食材を全種類食べたか、あるいは、料理の色を数えて7色以上になるか、などを意識することでも、バランスを整えることが可能です。


筋肉で美BODYに

中野 ジェームズ 修一 氏 中野 ジェームズ 修一 氏
(フィジカルトレーナー、スポーツモチベーションCLUB100最高技術責任者)

やせやすい体を作るために最も必要な要素は、間違いなく筋肉です。体の中で筋肉ほど多くのエネルギーを使ってくれる器官がほかにないからです。その筋肉を作るために何が必要か? もちろんタンパク質が一番大切ですが、糖質も欠かせません。

健康的であり、かつ、やせやすい体質には、栄養バランスを整えることがとても重要。ダイエットのために1,000kcalを切った食事をしている方は筋肉量が少なく、エネルギーを消費できません。そんな方に2,000kcalを食べていただいても、しっかり筋肉をつければ太ることはなく、リバウンドもしづらい体になります。体の筋肉の7割は下半身の筋肉です。筋力トレーニングが難しければ、ふだんから階段を使うようにするなどの工夫を取り入れてください。


食事で美BODYに

篠原 絵里佳 氏 篠原 絵里佳 氏
(管理栄養士、フィーカレディースクニック)

健康的に美BODYを作るためにはバランスの良い食事が大切です。そのポイントは、3種類のお皿をパズルのように組み合わせて食べること。一皿目はご飯、パン、麺といった主食、二皿目は肉、魚、卵、大豆製品といった主菜、三皿目は野菜、きのこ、豆といった副菜です。食事を食べる時に1、2、3と確認して食べるようにしましょう。ただし、この3皿では不足しがちな栄養素もあり、それは牛乳や乳製品、果物に含まれていますので、それらで補うことも大切です。

朝食を食べる習慣がない方は、簡単に食べられるものから始めてみてください。まずは飲み物を飲むことから。豆乳や牛乳を飲んでみて、それに慣れたらバナナを加えてみます。それにも慣れたら牛乳にシリアルを加えてみるというように、徐々にお皿の種類を増やしてみましょう。


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