若年女性の〝やせ〟が現代社会の栄養課題に。
若い世代からしっかりバランスよく食べて体づくりを行い、いつまでも健康で元気に、そして美しく!
2018年9月3日~5日、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターにおいて『第65回日本栄養改善学会学術総会』が開催されました。味の素(株)は9月5日『若年女性の栄養改善のために』と題し、ランチョンセミナーを共催。座長に神奈川県立保健福祉大学の鈴木志保子先生を迎え、村上明美先生(神奈川県立保健福祉大学)と長谷川美代先生(公益社団法人新潟県栄養士会)にご講演いただきました。
座長:鈴木 志保子 先生(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授)
演題:若年女性の栄養改善のために
初出:第65回日本栄養改善学会学術総会
開催日・場所:2018年9月3日~5日/新潟市
20代女性の5人に1人は〝やせ〟。身体機能への影響が心配される若年女性の低栄養
平成28年度の『国民健康・栄養調査』で、若い女性において〝やせ〟が目立っているという結果が報告されています。この10年間で女性の〝やせ〟は優位に増加しており、特に20代女性では5人に1人が該当するという状況です。〝やせ〟の一番の原因は、食べる量が少ないことによる栄養不足(低栄養)です。
低栄養の女性の内分泌への影響は深刻で、特に性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌が抑えられ、卵巣から放出されるエストロゲンの減少により無月経や自律神経失調などの症状が出現します。副腎皮質刺激ホルモンを放出するホルモンの分泌が増加し、血圧や免疫機能、ストレス耐性の低下がみられます。また、甲状腺刺激ホルモンの放出が抑制されることにより、成長や心拍などの体全体の生命維持機能が低下します。女性らしさの維持に重要なエストロゲンの分泌量の低下は妊娠に関わるだけでなく、体内老化が進み、20代にも関わらず更年期と同様の症状が見られる原因にもなります。
私が助産師の立場で若い女性に向けて取り組んでいるのは〝プレコンセプションケア〟です。これは、「子どもが欲しいと思った時のために早い段階から身体作りの準備を行ないましょう」というもので、栄養が非常に重要な位置づけとなっています。
きちんと栄養を摂るためには、食生活の改善が必要となってきます。「みんなと同じものを一緒に、会話を楽しみながら食事をする」というようなことが、食生活を変えるひとつのヒントになるのかもしれません。
「主食・主菜・副菜」の基本を守れば簡単!~工夫しだいでお弁当もバランス良く!!~
若年女性の〝やせ〟の一因として朝ご飯を食べないという傾向がみられますが、食べている人でも食事の基本である「主食・主菜・副菜」の組み合わせ自体を知らない人がたくさんいるのです。実は「主食・主菜・副菜」の3つの取り合わせで食べていれば、必要な栄養素は自然と摂取できるものなのです。主食はご飯やパン等で「エネルギー」、主菜は肉や魚・卵等で「たんぱく質」、副菜は野菜で「ビタミン」を摂ると考えれば分かりやすいのではないでしょうか。
今回は若い女性におすすめしたいお弁当(※)を開発しました。このお弁当も「主食・主菜・副菜」のグループ分けで考えてみると、他の物への置き換えで、手軽に同じような栄養バランスを実現することも可能です。例えばご飯はおにぎり、主菜の塩豚は冷凍のから揚げやゆで卵等にも置き換えられます。野菜の摂取量を増やす〝おたすけスープ〟も、あり合わせの野菜を切って、マグカップに入れ、水と顆粒スープを加えて電子レンジにかけるだけで代替できるのです。
食事はおいしく食べることが大事ですが、その裏には、栄養がしっかり摂れているということが重要です。そして、それが健康で元気に、美しくということにもつながっていくのです。
「若い女性の“やせ”の課題を解決するために、助産師と管理栄養士・栄養士が連携して、取り組んでいきましょう!」