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Ajico News Vol.7

健康維持のための「良い睡眠」‐加齢に伴う睡眠の変化と向き合う‐

※この記事の内容は公開当時の情報です

スポーツ栄養における食事と補食~質・量・タイミングの重要性~

●寝床に長くいすぎていませんか? 理想の睡眠時間とは
●良い睡眠は生活習慣病予防につながります
●大切なのは「規則正しい生活リズム」&「睡眠の妨げになる悪習を知る」こと

2021 Spring発行 Ajico News Vol.7より

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加齢により変化する睡眠の質から、健康へのアプローチを考える

健康づくりに欠かせない睡眠の重要性

「健康日本21」では、身体及びこころの健康を保つための三要素として、適度な「運動」、バランスの取れた「栄養・食生活」、心身の疲労回復と充実した人生を目指す「休養」を掲げています。健康における重要な要素である休養には、健やかな「睡眠」が不可欠ですが、なんと日本国民の3人に1人が睡眠に関わる問題を抱えているともいわれています。

睡眠の問題は、大きく「睡眠習慣」と「睡眠障害」に分けられます。

「睡眠習慣」には生活リズムや生活習慣が関係しており、「睡眠障害」には環境変化、加齢、病気やストレスによる不眠症・睡眠時無呼吸症候群などが関係しています。また、睡眠不足になると、日中の事故の危険性が増加するだけでなく、生活習慣病の罹患リスクを高めたり症状を悪化させることもわかってきています。

睡眠は発達や加齢に伴って大きく変化します。自らの健康づくりを進めるためにも、今一度、健やかな睡眠について考えてみませんか。

若者と高齢者の睡眠の比較
(出典:厚生労働省「e-ヘルスネット」より引用、改変)

睡眠中はノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返され、眠って3時間以内に最も深いノンレム睡眠(深睡眠)が訪れて疲労をとることができるといわれています。睡眠が浅くなると、尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうようになります。

健康寿命にも関わってくる「良い睡眠」のためにできること

寝床に長くいすぎていませんか? 理想の睡眠時間とは

一般的に年をとると若い頃にくらべて早寝早起きになりますが、これは体内時計の加齢変化によるもので、血圧・体温・ホルモン分泌などの生体機能リズムが前倒しになるためです。ほかにも睡眠が浅くなったり、眠れる時間が短くなるなどの変化も見られます。眠れないのに無理して寝床に長く入っていると、うつらうつらとしている時間が増えて、睡眠の満足度も低下してしまいます。適切な睡眠時間は人によって異なります。翌朝すっきりと目が覚め、日中眠たくならずに日常生活を元気に過ごせているのであれば適切な睡眠がとれていることになります。

年代ごとの睡眠時間
(出典:厚生労働省「e-ヘルスネット」)
(出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」より引用)

良い睡眠は生活習慣病予防につながります

睡眠不足や不眠は、生活習慣病の罹患リスクを高め、かつ症状を悪化させることがわかってきました。慢性的な睡眠不足は、日中の眠気や意欲低下、記憶力減退などのほか、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも影響を及ぼします。また、食欲が増大するなど食行動にも影響し、不眠症状のある人は良眠している人と比較して糖尿病になるリスクが1.5~2倍になることが知られています。睡眠時無呼吸症候群の場合、夜間の呼吸停止によって生活習慣病の準備状態が進み、高血圧、糖尿病、不整脈、脳卒中、虚血性心疾患、歯周疾患などの危険性を高めてしまいます。

睡眠障害と生活習慣病
(出典:厚生労働省「e-ヘルスネット」)

大切なのは「規則正しい生活リズム」&「睡眠の妨げになる悪習を知る」こと

からだの中には自分の意志ではコントロールできない体内時計があり、ホルモンの分泌や生理的な活動を調節して睡眠に備えています。この体内時計を整えるためにも、規則正しい食事が重要になってきます。朝食はしっかり食べて、寝る直前の食事は消化活動が睡眠を妨げるのでできるだけ控えましょう。同じく就寝前の喫煙、カフェイン、睡眠薬がわりに飲用されることの多いアルコールもおすすめできません。アルコールは寝つきをよくしますが、中途覚醒が増えて睡眠が浅くなるからです。

生活リズムを整える工夫としては、就寝の2~3時間前の入浴、起床してすぐに日光を浴びること、適度な運動、短時間の昼寝などが良いでしょう。

眠りの4つのポイント
(出典:大東寝具工業「シニアのためのねむり読本」)

睡眠に関わるアミノ酸研究

睡眠時間を充分にとったはずなのに、「充分に寝た気がしない」、「疲れがとれない」と感じたことはありませんか?

味の素(株)は、100年以上にわたるアミノ酸研究や様々な睡眠の臨床研究を通して、アミノ酸「グリシン※」を摂取することですみやかに深睡眠(徐波睡眠ともいわれる)をもたらす効果を発見し、特許(特許第4913410号)を保有しています。 研究の発端は、意図せざる研究者の観察からでした。2002年に他のアミノ酸の有用性試験に参加していた研究者の1人が、プラセボ(偽薬)として使用されていた「グリシン」を摂取すると日中の眠気や疲労感が少ないことに気づきました。その後自主実験を経て、「グリシン」の睡眠に与える効果について研究を開始。やがて「グリシン」が起床時のすっきり感向上、疲労感低減効果があることが明らかになったのです。

眠りの4つのポイント
グリシンは非必須アミノ酸です。ホタテなどの魚介類にも多く含まれており、私たちの体内では皮膚のコラーゲンの3分の1を構成している成分でもあります

睡眠とアミノ酸 グリシンがもたらす主な睡眠改善の効果

すみやかにぐっすりと深い眠りに

睡眠に課題を抱えている人に対してアミノ酸「グリシン」を摂取してもらったところ、対照食(プラセボ)を摂取した時に比べて、質の良い睡眠のカギとなる深睡眠によりすみやかに到達していることが分かりました。

深い眠り(深睡眠)への到達時間/パソコン作業の反応時間

日中の作業効率がアップ

日頃の睡眠に不満のない方々に意図的に睡眠不足の状態になってもらい、寝る前に「グリシン」または対照食を摂取していただき、翌日の「作業効率」と「眠気」を調査しました。その結果、「グリシン」を摂取したときのほうが、翌日の日中の疲労感や眠気が軽くなり、パソコンを使った作業の効率もアップすることがわかりました。

加齢に伴い若い頃より眠れなくなるのは自然なことです。 良い眠りのために、生活リズムを整えましょう!

良い眠りのための3つの習慣

宮崎 総一郎 先生(中部大学 生命健康科学 研究所特任教授)
中部大学 生命健康科学 研究所特任教授
宮崎 総一郎 先生

  1. 早起きすると早寝ができます。カーテンを10センチ開けて眠ると良い目覚めができます。
  2. 朝・昼をしっかり食べて夜を少なめにすると、体内時計がリセットされ、肥満予防にもなり良い眠りになります。
  3. 夜は暗くすると快眠できます。明るい照明は寝つきを悪くします。