※この記事の内容は公開当時の情報です
・高齢者の食事実態と健康への意識、食品摂取多様性と自立機能との関係性
・高齢者もたんぱく質の積極的な摂取を含めた食品摂取多様性の向上が大切!
2017 Winter発行 Ajico News vol1より
それぞれの段階に合わせた対策・指導でQOL向上へ!
高齢者にとって"生きること"は食べること。
食を楽しむ機能が衰えると、食への積極性が失われ、食事を用意する気力や食べる意欲も減退します。その結果、栄養状態が低下し、体の衰えにつながる負のスパイラルが生じます。このスパイラルを絶ち、自立度を維持するための栄養介入のありかたを考えます。
高齢者の考える"健康な食生活"意識とは?
8割以上の高齢者が、野菜や食物繊維を多く摂取し、塩分を控える高い健康意識を持っています。
一方、メタボや糖尿病対策のため"減らす"意識が高すぎるあまり、高齢者に必要なエネルギー源やたんぱく質摂取への意識は、比較的低いことが読み取れます。
高齢者の食事の実態
高齢者の日々の食卓を写真調査した結果、全体的にエネルギーやたんぱく質が不足しがちであることがわかります。
また、健康への意識が垣間見られる方もいる一方、野菜や炭水化物中心に偏りすぎていたり、ワンパターンになりがちで、改善の余地が見られます。
高齢者自身が自分のからだの現状と摂取すべき食事の量と質を正しく把握できていない点が問題です。
食品摂取多様性と栄養状態、自立度との関係性
介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者、熊谷修先生※の研究によると、たんぱく質の摂取だけでなく、毎日の食事で10食品群をしっかり摂れている、食品摂取多様性の得点が高い人は活動低下へのリスクが低いことがわかっています。高齢者が自らが食べ方のくせを自覚し、改善しやすくする指導が大切です。
※東京都健康長寿医療センター研究所 協力研究員